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撮影ツールとしてのMacOSXとUNIX


実戦ツール紹介

伝票作成機

 撮影作業後は、どのカットを作業したかを明記する作業伝票を記述する習わしになっています。現在その伝票の多くは、手書きで記述されていますが、撮影行程が「デジタル」化されて久しい現在の状況から考えると、妙な話ではあります。

 コンピュータで作業していると言う事は、既にそこ(コンピュータ)に伝票作成に必要な情報=「カット名」「カットの尺(デュレーション)」等々がある訳ですから、それらを活用すれば簡単に伝票は作成できるはずです。After Effectsで作業する際に「コンポジションの継続時間」つまりカットの尺を入力します。カットボールドを手書きで入力している場合(注)は、またカットの尺の入力です。そして伝票作成時に今度は手書きでカットの尺を書かなければならないのです。コンピュータにデータを入力してプリントアウトする段取りは日常茶飯事なのに、撮影伝票はデータ入力済みであるに関わらず手書きのまま‥‥、これはただ単に「現在、伝票を作成するソフトウェアが無いから」というだけのような気がしていました。
注)私の環境ではカットボールドの作成は、レンダーオートメーションもしくはオリジナルソフトウェアで自動生成しています。

 誰も作らないならば、自分で作れば良い!‥‥という事で作りはじめたのが、この「伝票作成機」です。

 ただ「伝票」とひとくちに言っても、色々な制作事情が絡んでいます。ファイル名に始まり、カットボールドの枚数や連番・Quicktimeのファイル形式など、ひとつのルーチン・メソッドで完結するほど生易しくはありません。例えば、Quicktimeムービーの場合はムービーファイルからデュレーションを取得しないといけませんし、タイムシートは24コマでもムービーは30fpsでフレーム数が食い違う、wsswwなどのプルダウンフェイズによっては「ハンパなフレーム」の位置がずれる、テイク番号の記述やカッティング・ダビング用などの明記‥‥など、解決しなければならない問題はそれなりに多かったのです。恐らく、ここらへんが厄介で、みんな手を出さないのかな‥‥と思っていました。

 そうした色々な問題を1つずつ丹念に解決し、なんとか実働状態まで作り上げ、2005年の4月から本格的に使い始めています。実は2004年冬の「テニプリ劇場」でも使用開始していたのですが、テキスト形式のタブ切り表示に難があり、テニプリ作業後、HTML形式のテーブル表示へと改良していたのです。

 以下は伝票をSafariで表示した状態です。Quicktime用と連番ファイル用の2種類です。



注)アイジー社外の作品のため、記述は最小限度に抑えた書式です


注)これはテスト書き出しの伝票ですので、タイムコードの表記はダミーです

 「伝票作成機」の使い方はいたって簡単です。伝票を作成したい連番ファイルまたはQuicktimeムービーを1つのフォルダにまとめておいて、そのフォルダをアプリケーションアイコンにドラッグ&ドロップするだけです。後はアプリケーションと対話形式で作品名やタイムコードを入力すれば、リスト作成はコンピュータがすべておこないます。

 保存した伝票はHTML書類ですから、Webサーバに配置すればネットワーク上から閲覧できますし、再発行やバックアップも簡単です。Excel、AppleWroksなどの固有アプリケーションの表と違い、ごく一般的な「ホームページが読める」環境ならばMac,Win,Linuxどれでも閲覧可能です。

 個人の字の「上手・下手」に視認性が左右される事もありません。「6」なのか「0」なのか、「1」なのか「7」なのか、手書きの伝票には必ず付いてまわる読みにくさが発生しません。(タイムシートではよくありますよね?)

 「プリンタが故障したら印刷出来ないのでは?」という事例もあるでしょう。もし運悪く「社内にある全てのプリンタが故障」したとしても、その時は原点に戻って、作成したHTML書類をもとに「手書き」で書けば良いのです。要は「手書き『しか』伝票を書く手段が無い」という状態から脱却し、できるかぎり「簡単に確実に伝票が作れる」状態を作り出せば良い訳です。


 「伝票作成機」の構造は至ってシンプルです。当該の撮影上がり(連番ファイルやQuicktimeムービーファイル)の情報を読み取り、HTMLのテーブル書式を生成し、html拡張子のテキストファイルに書き出すだけです。

 伝票を指定プリンタ(例えば、担当制作のプリンタ)で自動印刷したり、制作関係者宛にメール添付して送信する機能もテストしているのですが、現在は「手渡し」の方が主流なので、その機能はとりあえず後回しになっています。コンピュータネットワークが制作システムとどう絡んでいくのかが未明の現在では、やや勇み足かな?‥‥と思っていますしネ。

 本業の撮影・エフェクト作業のかたわら、「伝票作成機」を実働状態まで作り上げるのに半年近くかかっているのですが、その半年を惜しんでいつまでもツールを作らずにいれば状況は何も変わりません。アニメ業界は、そういう「急がば回れ」をあまりしない傾向にあるので、危機感を感じた人間が自発的に自費・自分の時間を消費して作っていくしかないのです。改善の余地を無視し続けた結果、状況が変わらず苦労を背負い込むのは、他ならぬ自分たち=撮影・エフェクト作業者なのですから。



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