|
Expression Tactics
【2】 時計のモーションで有用性を実感する |
![]() 時計の針のエクスプレッションを、もう少しいじってみましょう。 秒針の動きをもう少し突っ込んで考えてみた場合、1秒間にカタと動く秒針を単に「1秒間に1回モーションする」だけで終わらせるのは、何とも味気ないと思いませんか?‥‥私は現役(撮影・エフェクトとフタマタなので、「バリバリ」ではありませんが)のアニメーターなので、特にその「無味無臭」「だし味の薄さ」が気になります。 もちろん、あえて上品に「薄めのだし味」にしているのなら良いんですが、単に目(舌?)が行き届かなくて「薄い」のだったら、料理人の名折れです。 なので、秒針の動きを「もう少し味付け」して作って見ます。 秒針が次の秒へ移動する時に、スッ‥‥と動くモーションを付け足しましょう。‥‥と言っても、単純にキーフレームを「らしく」打つだけです。次の秒へ進む寸前で秒針が動くようにキーフレームを設定します。動きは1秒分だけ作ります。
そしたら、ここから先がエクスプレッションの腕の見せ所です。ループ命令文を使って、1秒分のループを作り、さらに1秒ごとに6°の角度を追加します。
おやまあ、1行の命令文で簡単に出来てしまいました。 では、時間も余ったので(?)、ちょっと愛嬌のある時計、「昔から愛用している、年季の入った目覚まし時計」のようなモーションにしてみましょう。時計のムーブメントの制動がルーズで、針が動く度にプルッと振るえるモーションを作ります。アニメーターならお馴染みの「リアクション作画」に相当するモーションです。エクスプレッション本文はそのままで、リピートするキーフレームを少々細かくいじります。
上のサンプルGIFアニメーションをよく見ると(よく見なくても?)、秒針が進む度にプルッと動くのが解ると思います。秒針が動く勢いを止めきれずに、止まる寸前にブレる動きを表現しています。まあ、実際、こんなルーズなモーションをするかは別として、「愛嬌のある動き」の感じを優先して作って見ました。 こうした「ルーズな秒針」の動きを、エクスプレッションを使わずに単純にキーフレーム打ち込みだけで作るのは、とんでもなく面倒で、かつ不毛な作業です。‥‥何が不毛って、「一生懸命手作業でやっても、エクスプレッションでササッと作っても、結果は全く同じ」な点が、まさに不毛そのものなのです。 ぶっちゃけた話、結局は映像が良ければ結果オーライなのです。目を充血させて手の筋肉の疲労に耐えながら何とか300個のキーフレームを打って作った映像クオリティに比べて、10個のキーフレームをとことん吟味・設定しエクスプレッションで30回リピートした方がクオリティが高い‥‥なんて事はよくある話なのです。 エクスプレッションの有用性は、クオリティ重視と作業効率重視と言う2つの要素に対し、おしなべて働きかけるものだと言う事が、徐々に解ってきたのではないでしょうか。 このページの最後に、エクスプレッションで作った「1秒でほにゃらら」をモチーフにしたムービーを載せておきます。どれも手作業では面倒臭過ぎて「絶対にやりたくない」内容のものばかりです。(*ムービー再生には、QuickTime7以降が必要です)
注意1)この解説ページに掲載してあるGIFアニメ画像の再生時間軸は厳正ではありません。GIFアニメはファイルフォーマット自体が厳正な時間軸を保証していないので、再生する環境により再生速度が変わります。 注意2)ここで紹介したスクリプトを実際に使用する際は、使用者の責任において使用してください。
|